ちょこっと前ですが、鳥羽で行なわれた「子ども心身セミナー」に両親と参加して来ました。
全国各地から小児科の医師の方や、保育園の園長さんやカウンセラーの方などが参加していました。なぜかふらっと参加した中学校美術教員。でも確実にADHDの生徒などが増えているので、これを機会にちゃんと勉強しなくちゃああああと思ったのですが、なんだかあんまりそういう話は無く。ただひたすら面白いおじさんの漫談を聞いているようでした。
面白いおじさんとは言いましたが、もちろんみなさん著名な研究者や教授の方々なんです。すごく話が面白くて、ずっと笑っていました。なかでも松井和先生というかたは話が猛烈に上手で、もう綾小路きみまろにしか見えませんでした。
この松井先生は全国の園長先生と現代の子育ての様々な問題を話し合ってきているのですが、なかでも面白い話に、自分がカレーが大好きだからといって子どもに毎日カレーばかり食べさせる親の話をしていて、それはとても問題ですよね?!と園長先生が松井先生に言ったのですが、しばらくしてからふと「でも、園長先生、インドでは毎日カレーですよ」といって二人で大笑いをした、という話でした。
子育てにとって一番恐ろしい事は無関心であって、例えそれが多少歪んだ形であっても子どもに対する関心から出たものならば、まだその親子は大丈夫なんだ、というのも印象的でした。
最後にあるお話を聞いて、ちょっと泣いてしまいました。
ある母親が、第二子を授かりその子を胸に抱いている時に、第一子であるひかりちゃんがとった行動についてです。
弟につきっきりになっているお母さんを見て、ひかりちゃんは「ひかりちゃんのお母さんどこにいるの?」とお母さんに言いました。
「ひかりちゃんのお母さんはきっと病院にいるんだ」とひかりちゃんはいいました。弟を産む為にお母さんが病院に行ったということをおばあちゃんが言っていたからです。
「お母さんを迎えに行かなくっちゃ」といって玄関で靴を履いているひかりちゃんの背中を見て、お母さんはかける言葉が見つからず、ただひたすら後ろで泣いていました。
ひかりちゃんは後ろを振り返って、泣いているお母さんを見て「ひかりちゃんのお母さんは、やっぱりここにいた」と言いました。
これを聞いて、セミナー会場でなぜか号泣しました。
このセミナーは二日間あり、鳥羽シーサイドホテルで泊まりがけで行なわれたのですが、その日の夜は父のいびきがうるさすぎて私は押し入れで寝ました。
「あいちトリエンナーレ」へ行ってきました。ご存知でしょうか?実は今国際アートの祭典が密やかに愛知で行なわれている事を、、、。私はどこかでうっすら聞いたような、、、。というくらいのレベルだったのですが、この度愛知在住の友人ヨーコちゃんからお誘いをいただき行って参った訳です。
そもそもなんじゃそら、という方に間違っているかもしれない説明をします。3年に一回行われるという国際美術展です。私が大学生のころからやたらと「○○ナーレ」という美術展を耳にするようになり、私も大学の頃は「横浜トリエンナーレ」などに行ったものでした。日本を含め、世界各国のアーティスト達が映像作品やペインティング、彫刻、インスタレーション作品などを大量に展示します。「アートを開いたものに!アートで街を活性化!」という動きの一環だと思われます。中にはこ難しいのもありますが、ブラブラ家族で観たりデートで観たり友達とワイワイ観たりするような感じです。
私とヨーコちゃんはどちらかというとしゃべったり食べたりする事の方がメインなので、実はナーレは午前中にさくーっと観終わりました。さくーっと観終わった中で、一番やはり好きだったのが写真にあります三沢厚彦さんによる動物彫刻です。この方はとても有名で、色々な展覧会で観る事ができます。今一番売れっ子の彫刻家です。
売れっ子なだけあって、やはりいいです。誰もが観て分かって、誰もが観て「かわいい!」といえる。それってすごいことだと改めて思いました。木彫作品なので会場全体に木の香りがたちこめ、それもいいのです。意味不明の映像作品とか、分けわからんけどなんだか分からないと馬鹿にされるんじゃないかと心配してしまうようなどっかの作品より、木を人が一生懸命彫って現れた動物の方が私は遥かに感動します。
アートは早々に切り上げて、あとは栄の街をブラブラしました。「女らしい服が少なすぎるのをどうにかしようプロジェクト」が勝手に私達の中で始動したので、とにかく女らしい服を血眼で探しました。今まで見向きもしなかったものに目を向けるということはかなり難しいことですね。私より30倍女性らしいよーこちゃんにアドバイスをもらいつつ、ワンピースとカチューシャを買いました。嬉しくなって家で少し着てみたら一瞬でワキ汗がシミになったので、クリーニングにもう出すことになりました。女への道は険しい。
タダ券を入手したので三重県立美術館に「橋本平八と北園克衛展」を観に行きました。「誰じゃ?そりは」という気持ちで足を運びましたが、大正時代に活躍した三重県出身の芸術家ブラザーズとのことでした。
兄ちゃんの平八どんは彫刻家として活躍し、39歳で亡くなられています。猫や変なポースのおばさんの木彫りを作っていたらしい。変なポーズのおばさんの木彫り、と思っていたらタイトルが「花園に遊ぶ天女」だそうです。芸術家はこれくらいトンチンカンなことを本気でやらなくては!とちょっと感激しました。
弟の克衛さんは相当ナイーヴィーな詩人モダンボーイという印象でした。詩人であり、デザイナーだったそうで。彼が手がけたデザインは今見てもめちゃくちゃかっこよいです。「ゲエ・ギムギガム・プルルル・ギムゲム」とかいう前衛詩の雑誌を創刊しただの、この人とは付き合えないなと勝手に思いました。なんか食事中とかにややこしいこと言い出しそうだし。
誰だってそうでしょうが、人のいない美術館って大好きです。というか東京とかで大混雑している美術館はもう絵を見るどころではない。あんな場所では何も得られないと思ってしまう。情操教育させたいなら地方のさびれた美術館へ連れて行ってあげてください。絵と自分以外だれもいませんから。
しかしこういう人の少ない美術館で、数少ない他の観客との距離の取り方とかで妙に緊張してしまう自分が情けないです。こんなに莫大な空間でなぜか私はこのおじさんとマンツーマン、、、。とか。あの人とこれだけの距離を保って絵を見るには、私がもっと絵を見るスピードをあげなければ!!とか。こんなことでいちいち気をもむのできっと私の手相の線は乱れてるんでしょうね。
どうです?この直接的なタイトル。1976年の雑誌です。しつこく田舎散策を続けている日々ですが、おばあちゃんちのミシン部屋で見つけました。60年代の装苑や、主婦の友などといっしょにごそごそ出て来ました、昔の雑誌が。そのなかで、飛び抜けてタイトルがナウかったので、ちょっとのせました。
昔の雑誌で何がおもしろいかっていったら、やっぱり言葉でしょうか。特に80年代の雑誌をのぞいてみると、すべての女の子の名前の後ろに「クン」とついているのが非常に気になりました。「カップルのあつあつレポート」とか「ファッション欲張りギャル」とか、非常にトキメキ度の高いフレーズのオンパレードです。
逆に70年代だと、言葉の丁寧さ、ぎこちなさが目立ちます。「ワキガのあなた、こちらのクリームをお使いいただければ、たいていの場合、あの悪臭だけは人に気付かれずにすみます。」みたいな。もう真っ正面です、なんか。実は超失礼なんだけど、丁寧さでセーフという状態。
今の雑誌もきっと一瞬で昔の物になってしまうけれど、雑誌は取っておくべきだな〜と思いました。興味深いタイムカプセルです。言語はともかく、服自体はまた流行が巡ってきてる物もすごく多くて、なんだ、結局なんにも捨てられないじゃないか。
この全体的に衝撃的な装丁の本。現代美術家の会田誠さんが著者です。この絵ももちろん会田さんの「滝の絵」という絵です。装丁は、やはり鈴木成一さんでした。買わせるデザインです。最近、大阪のデパートで、普段あまり行かないコーナーに引き寄せられ、まんまと見つけてしまい、まんまと購入しました。
私が会田さんを知ったのは18のとき。それからずっとふんわり好きでしたが、大学の同じ専攻の、あまりウマの合わない男子が熱狂的に会田さんを好きだったので、大きな声では言えませんでした。私はこの方の書く文章が好きです。最高に陳腐な言葉を使って申し訳ないですが、「共感できるうえに、ショックも与えてくれる」感じです。あ〜。私のミジンコサイズの脳みそではまったくうまく言えないですけど。
ちなみに今回この本で、最高におもしろかったのが「この国の女どもは「アメリカの最低ランクの売春婦」を模倣しようとしている。」というフレーズでした。髪を金髪に染めて、露出の多い格好をした女子高生を見ての言葉だったみたいです。腹を抱えて笑いました。