乳腺炎と乳飲み子抱えて何映画観に行ってんだと言われそうですが、もう、東京に行ったら映画なんて絶対に観に行けないと思って、母に頼み込んで息子を託し、やっとの想いでジブリの最新作を一人で観に行って参りました。途中で乳が張って垂れて来ましたが、乳を垂らしながら観ました。ジブリを一人で観に行く人は本気だよ。何が本気ってよく分からんけど、本気なんだぜ。
だって、久しぶりの宮崎駿監督だよ。そんでもって最後かもしれないとかまで言ってんだよ。最後じゃないと言ってくれ!でも「もののけ姫」のとき、「最後」とか言ってたから多分大丈夫。あと10作品は作ってほしい。私より長生きしてほしい。
主人公の二郎の声を、エヴァンゲリオンの庵野秀明さんがやってるんですが、それがとてもよかった!「耳をすませば」の雫の父役を立花隆さんがやっていた声が私はジブリ作品の声の中で一番好きだったんですが、それを上回る素敵さでした。あの「くぐもり」感がたまらなく素敵。
ジブリに出てくる男性主人公に、女性なら一度は恋をしたことがおありだと思いますが(え?そんなことはない?あるでしょ。)今までは「耳をすませば」のせいじ君がNo.1だったのですが、もう本日より二郎に首ったけです。二郎首位に躍り出る。あのぼさぼさ頭に瓶底メガネのぼんやりとしたインテリ感がかっこいいです。ドイツ語もフランス語もしゃべれちゃうの。女性を助けて名前も言わずに立ち去るなんて、時代劇の風来坊しかそんなことしないよ!っていいたくなるけど、素敵。肩の力が抜けてる所が素敵。なのに偉業をなしとげちゃうなんて素敵。あの風貌に、本当に庵野さんの声がマッチしている。映画って素敵な作り物だなあと思う。線を引いて、色をつけて、声を吹き込んで、新しい人間を作る。スクリーンの中でそれは生きている。
空を飛ぶシーン、風でスカートや髪の毛がなびくシーン、食べ物を食べるシーン、そして鉛筆で紙に字を書くシーン、全てが宮崎監督らしい。好きなシーンがいっぱいです。鼻の異常にでかい人物もちゃんと出て来てました。
宮崎監督は飛行機が大好きだけど、飛行機が多く出てくる作品にはいつも同時に戦争のシーンもある。でも戦争を描きたい訳じゃない。美しい飛行機を作った男の人の生き方を描いている。二郎という人間に、宮崎監督は想いをたくさんのせている。
忘れかけていた映画イラスト、、、。最近面白いと思う映画を観ていませんでした。が、このパーマネント野ばらは久しぶりにひりひりっと胸が痛んだので、覚えておきたいな〜と思いました。
これは原作者が西原理恵子さんです。西原さんの故郷の高知県の漁村が舞台なんです。私にとって、高知県は坂本龍馬の故郷だし、高知弁はかわいいし、良いイメージしかなかったのですが、県民の幸福度調査では極めて順位が低く、西原さん曰く、「私の故郷は、ヤンキーと水商売の女の人しかいなかった、最貧困街で早く出て行きたかった。両親は毎日ケンカしてた。」とかなんとからしいです。
この映画は、そういう漁村が舞台になっているようで、一度は村を出たものの、離婚して帰って来たナオコ(菅野美穂)が主人公です。ナオコの母が経営するパーマ屋「野バラ」を手伝いながら、一人娘を育てるナオコ。その店にやってくる常連客のおばちゃんや、ナオコの幼なじみとの平和で下世話でちょっとえげつない日常のやりとりがおもしろおかしく流れて行きます。みんな、どこかちょっとズレていて、ナオコ自身も、観ている私自身も「まともな人はナオコしかいないじゃん」と思ってしまいます。そう思っていたら、ラストにものすごいひりひりとした衝撃が待っています。
ラストの、菅野美穂の表情があまりにも綺麗で、そこだけ巻き戻して何度も私は観てしまいました。しまいには、写メでその場面だけ撮って、いつでも観れるようにしています。本当に奇麗で、観るといつでもヒリヒリとした気持ちが蘇ってくる、そんな表情なのです。
もう1つの大きな魅力は、ナオコの幼なじみ役で出ている小池栄子です。私は最近「カンブリア宮殿」を毎週観ているので、小池栄子が妙に好きになっていました。昔「ケイリ〜ン場に〜コイケエイコ〜!」という競輪のCMに出た時は、アカン方向へ行ってしもうたと思っていた小池さんでしたが、実はあれから何かどんどん魅力的になっている小池さんです。ナプキンのCM止まりだったサトエリを大きく追い抜かしてしまいました。もうグラビアアイドルだったころの面影なんてなくて、本当に素敵な女優さんになったもんだな〜と小池さんをまぶしく思う今日この頃です。
この「野バラ」の小池さんを是非皆さんにも観ていただきたいと思います。好きになるよ。
ジブリ映画は絶対に映画館で観たい。そんな想いをぶらさげて、夜10時からのレイトショーに単身乗り込んできました。なぜかスターウォーズのTシャツを着て。完全にアニメおたくっぽいアラサー!ですけど、いいんです。リラックスした状態じゃないと映画なんて楽しくないから、ノーメークでいいの。
近頃、宮崎駿さんは、どうも後継者を育てる事に頑張っている。絶対誰も駿さんにはなれないけどね、、、。アリエッティも違う監督でした。
そして、今回なんと、、、「ゲド戦記」で完全に大失敗をしたと思われる息子の吾郎サンが監督とな。ということでそんなに期待をせずに観に行きました。吾郎サンがやらかしませんように、、、。
結果、とっても良かったです。帰りは、まだ覚えてないけど雰囲気だけどうにかつかみながら主題歌を口ずさんで帰って来ました。CDほしいな。
「古き良き」が大好きなジブリ映画らしく、日本の西洋建築が大好きなジブリ映画らしく、たまにボソボソ言ってて聞きづらいんだけどなんかそれがいい味出してる声優さん使いとか、絶対ちょっと何か伝えたいんだよね?というテーマをさらりとおもしろくしてくれて〜。あ〜ありがとうありがとう。私は満足です。
すごいな〜と思ったのが、主人公の海ちゃんが、働きすぎな事。誰よりも早く起きて、下宿屋のすべてを切り盛りしているのです、16歳なのに。海ちゃんが遅くに帰って来て、夕飯の支度を6人分しなきゃいけないのに、兄弟はテレビ観てて。なのに、新聞部の手伝いもして。「私にはできない」と、映画を観ながらワナワナと手が震えました。
でも、1960年代はきっとみんなが時間が惜しくて惜しくてたまらなかったんだろうなと思いました。みんなが当たり前のように全力で動いている。路上で熱く語っている。廊下で、教室で、これからの日本の事を語っているのです。
高度経済成長時の日本というのを、ドキュメンタリーとか、ドラマとかでちょっとは知っているけど、アニメでそれを表現するとそれは何十倍も浮き出て見える。それをわざわざ絵にして、台詞にして、ひとつひとつ起こしてアニメという形にしているから、ひとつひとつの「今との違い」が浮き上がってくる。それを観るのがすごく私はおもしろかったし、宮崎さんが「君たちの親は、こういう日本を生きて来たんだよ。」とわかりやすく教えてくれているようでした。
今の私達が、あのころのように振る舞える訳ではないけど、知る事はとっても大事だ。