
うちの母は、バレンタインは大嫌いらしいけどクリスマスは大スキみたいで、昨日帰ったら庭からぶち倒して来たらしいモミの木風のものが転がっていた。ミドリだけは腐る程あるので、思い立ったらすぐに手に入る便利な田舎。門松に立てる竹も庭からいつも切り倒します。父はトランプとペン以外持った事がないくらい非力なので、木を切る仕事はいつも母が。
今年のクリスマスは人を招くので、俄然やる気の母。でも思い返すと、私が高校生のころまでずっと母はクリスマスには自作のツリーやリースを飾っていたことを覚えています。私が大学で家を出ていた間は、褒めてくれる人がいないので下火だったらしいです。姉や父は、あまりそういうのに気付かない質なので、盛り上がるのはいつも私と母だけです。姉にいたっては、気付かなさすぎて造花の水を換えていたくらいです。

気が向いたらツリーの飾り付けをするように言われていたので、帰って早々に飾り付けをしました。私は基本的に絵を描く事とモノマネ以外は器用ではありません。よく「美術をしている人だから期待したのに」と残念がられる傾向にあります。以前バイトをしていた看板屋さんは、2年たっても何事もうまくこなせなかったので失意の中辞めることになったくらいです。
なのでツリーも、なんというか、大した事はできませんでした。

仏像とクリスマスキャンドルが渾然一体となった我が家のリビング。これが正しい日本の風景というものだと、最近は思います。
やっとツリーを飾り終えたと思っていたら、母が今度はしめ縄を買って来たので、師走の慌ただしさをひしひしと感じました。

今朝起きるとリビングのテーブルに紙袋が。きた〜!いつものやつです。父はお祭り大好き人間なので、クリスマスプレゼントを毎年くれます。ええ、素晴らしくサービス精神のある父です。なにせマジシャンですから。
でも私は毎年この紙袋を開けるのがこわい、、、。なぜなら、たいてい使えないものや趣味の全く違うものが入っているからです。たまに行く海外へのマッジク出張からのおみやげにも、母は毎回「何も買ってこなくてもいいからね」と伝えています。昔は色鉛筆やかわいい宝石箱や美しいレターセットなど、父からのおみやげは私も大好きでした。ところが私達が高校生くらいになってくると、だんだん雲行きがあやしくなってきました。
「もう娘も大人だから」的な目線で父が選んだおみやげはどこかずれているのです。いや、私達が大人に成ったせいで趣味や好みが複雑化することはごく自然な事です。父よ、よく見ておくれ。私はいつも化粧をほとんどしていないだろう?娘が化粧に熱心かどうかくらい分かってほしい。なのに立派なお化粧セットをいただいてもどうしたらいいのか分からない。つまり赤い口紅はいらないのだよ。謎のデザインのスウォッチもつけられないのだよ。このブローチも私の年代ではどもにもこうにもつけられないのだよ。アロマオイルグッズも幸いストレスがあまり溜まってないし、省エネ思考だから電源をいれてまでオイルを温めようとは思わないのだよ。石けんは嬉しいよ。たまに奇跡の一品があったりすると小躍りします。
ということで、私はよく父とそのことでケンカをするので、もう父は海外からはおみやげを買ってこなくなりました。素直に喜んであげられない娘で大変に申し訳なく思います。
姉は父との意思疎通がうまいこといっていて、「パパ、韓国行くなら美容マスク買って来てや。」とか希望の品をちゃんと伝えるのでまんまと欲しい物を手に入れています。私は欲しい物が思いつかずに、ぼんやりしているといつのまにか父は海外から帰って来ています。「おまえにはないぞ」という言葉とともに。

そんな中、今回のクリスマスプレゼントは奇跡の一品でした。数少ない使えるものだ〜〜〜!暖かそうに見えてあんまり暖かくないスリッパ。ありがとうとまだ言えていません。「かかとがちょっと寒いよ、このスリッパ」としか伝えられていない私でした。

志摩観光二日目、志摩スペイン村パスポートは二日間有効だったにも関わらず、別の観光地を求めて出発しました。ホテルで色々な観光パンフレットを検討した結果、「大王埼灯台」という場所に決定。ここはどうやら絵描きの街らしいのです。
言われてみれば絵になる風景。そういえばちょっと前にNHKの朝のニュース東海版で紹介されていたような。そのときは夏だったから、絵描きのおじさんとかが灯台を描いている映像が流れていた。
私も高校生の頃には美術部で、大学生の頃には学部で風景画実習に毎年行っていましたが、私は風景画を描くのが大嫌いでした。理由は直球で、下手だからです。私は風景画がドヘタクソなのです。だからいつも私の描く絵は背景は真っ白なのです。それと、なぜわざわざ外で描かなきゃいけないんだろう?というのがそもそも疑問なのです。私は制作途中を人に見られるのが嫌いです、制作途中に風が吹いてキャンバスが飛ばされるのも、虫が飛んで来て足を刺されるのも大嫌いです。そこに雨が降ろうものならもうコタツで早くミカンでも食べたい気持ちになります。だから風景画を描かなきゃいけなかった日々を思い出すと、面倒くさかった思い出と、さぼって人にちょっかいをかけにいった思い出と、買い食いをしていた思い出しかありません。

風景画についての悪口ばかり描いてしまいましたが、人が描いたものは好きです。自分が描くのがイヤなだけです。それにしてもこの灯台のてっぺんから海を眺めた時は、なんかすがすがしすぎて鼻がつーんとしました。海を目の前にして、絵を描きたくなるなんて信じられない。ただよだれを垂らして見ていたいよ。

海と言えば干物。この魚達の家族がこの光景を見たら気を失うだろう。かつて一緒に泳いだ仲間は今天日干しに。金子みすず風に魚側の目線から考えてみました。
海の近くは津波がこわいんだってことを、今年は思い知ったけど、それでもやっぱり海の街は本当にいい。全部いい。匂いも食べ物も風もいい。山を見ても甘酸っぱい気持ちにはならないけど、海を見るとどうして甘酸っぱい気持ちになるんだろう。どうして私の家の周りは山だらけなんだろう。
数ある干物の中から、私はイカだけをチョイス。今日食べようと思う。
今回の旅行で思った事は、三重県人はスペインに頼らないで、三重の昔からの観光物を大事にしたらいいんじゃないかということでした。

三重県が総力をあげて取り組んだリゾート施設、志摩スペイン村にオグと行って来ました。
あれは確か1994年、私達の地味な三重県にスペインを模した素敵なリゾート施設ができると聞いて、胸を躍らせた小学生の春。いよいよゴールデンウィークにオープンすると聞きつけ、友達家族と喜び勇んで出かけて行きました。同じ三重県内を移動するのに片道5時間、、、全ての三重県民が本日ただいまスペイン村に集っているとしか思えないほどの渋滞。でも確かにあのとき志摩スペイン村は輝いていた。私はその日閉館までいて、暗闇の池にメガネを落として帰って来ました。それでも楽しかった。

ほぼ10年ぶりくらいに訪れた私をおそった衝撃。土曜日なのに人の居ない園内、ほぼ貸し切り状態。クリスマスフェアはどうしたのだ?いまこそカキイレ時ではないのだろうか、、、。昔の方がかわいかったキャラクターのドンガバチョ達がお客さんを捜して右往左往している姿に、私の心にアンダルシアの風ではなく、西部劇の木枯らしが吹きすさびました。

何がどうダメって、具体的に言い過ぎるのはよくない。それは分かっています。でもこのアトラクションの看板を見ていただければ、なんとなくダメになった理由がお分かりになるのではないかと思います。
私は三重県を愛しています。それはそれは愛しています。だからこそ、頑張ってほしいのです。園内全体に漂うあきらめムードが悲しかったのです。

朝10時くらいに着いたのですが、私達は園内でどうにもこうにも時間を過ごす事が難しく、予約していた志摩スペイン村ホテルに3時頃にチェックインしました。
温泉があってよかった!!!持って来たミカンを食べたりしてのんびり過ごしました。これはこれで良い。
みなさんどうかスペイン村に来てください。ある意味のんびりできます。三重県民からのお願いです。

私も母も、今更我が家にレボリューションなど期待していなかったのに、家長である父の気まぐれによって「家の壁を塗り替える」という作業がこの忙しい師走に進行しています。
そのため、今我が家はどんなに外が晴れていようとも雨戸が閉まっていたりビニールがかぶさっていて、家の中が昼間も真っ暗で寒い。外には常にヤングでヤンキッシュでも情は厚そうな作業員の青年達が闊歩していて、うっかりおならもできない有様です。してるけど。
ナチスから逃れる為に隠れ家生活をしていたアンネ・フランクってこんな気持ちだったのかしら?など、見当違いなことを考えたりしています。
そんな面倒くさい提案をした父は、ほとんど家に居ないので全く不便を体感せず。最初は嫌がって嫌がって担当者の人に毎日苦情の電話をぶちまけていたモンスターな母も、作業員の青年達にさっさと情が移り、今では「あの子達のおやつ、何にしようかしらん?」とちょっぴり楽しそうなのは気のせいでしょうか。
家にいる時間が一番長い私は、母の居ない時作業員の方の対応をせねばならず、日の当たらない寒い部屋からいつも同じパーカーとジャージのズボンをはいて、マスクをしてぼさ〜っと出てきたかと思えば、10文字くらいしか話さないので多分ひきこもりだと思われています。

家の外は青いビニールと鉄骨の足場だらけ。このビニールが取り外されたら、一体どんな素敵な変化が訪れるのかしら?ともしかしたら近所の方々は思っていてくださるかもしれませんが、わざわざくすんだベージュに塗り替えているので、ご近所さんをがっかりさせるのではないかと自意識過剰な心配をしています。
洗濯物が乾かないので、私は今日もストーブの前でパンツを温めなくてはなりません。