同じマンション内には、ものすごくたくさん子どもが住んでいる。というか、私の住んでいるマンションは社宅なので、住んでいる人は全員夫の会社の人々とその家族なのですが。いや、うちのマンションだけじゃない。江戸川区はとにかく子どもだらけである。とても嬉しい。朝からたくさんの子どもの声がする。夕方からも子どもの声がする。子どもの声ってそれだけでなんだか希望を感じてしまう。平和な日常が続いているんだなと思う。
そして、その同じ社宅内のママさんたちがだいたい月に一度くらいの割合で女子会を開いている。新入りの私でしたが、ママさんたちは快く声をかけてくださったので、私は息子を抱いていそいそとお隣や上の階や下の階に部屋着のまま出かけて行く。近いってスバラシイ。料理を一品持ち寄って、それぞれの子どもももちろん一緒になので、相当賑やか。
ほとんどの子どもさんが3歳なので、私の息子はまだ遊びには参加できないけど、私の膝の上でママさん達の顔をじーっと観察している。そしてたまにやってきて頭をなでていく他のお子さん達に恐れおののいている。私が、子育てで不安に思った事や疑問に思った事をたくさん質問すると、何でも答えてくれる先輩ママ達。「うちの子の耳あかがすごいんですけど。」「ゆりさんっていう耳鼻科が駅の方にある。」「コンセントキャップは必要か?」「子どもによるから、もう少し大きくなって様子をみるといい。」「ベビーサークルは必要か?」「百均に売ってる突っ張り棒を入り口につけておくだけで子どもは入って来れない。」などなど、答えられない物はない。という感じで非常に助かります。
そして、自分の子どもと人の子どもを全く区別しないで、すべての子どもにきちんと世話をやくというか、みんなに目を配っていることがすごいのだ。そしてそのママ達の目や耳は、子どもの異変をものすごい早さと正確さでもってキャッチするために進化しているのだった。私が何の変化にも気付いていないのに突然3人のママが「だめよ!順番でしょ!」といって声を張り上げたので私はびっくりしてしまった。子どもの方を見ると、小さなもめ事が起こっていた。さっきまでママ達だけで会話を楽しんでいたのに、ちゃんと子どもの方にまで神経が行き届いているのだった。もう全員エスパーに見えた。私がご飯を食べる瞬間「こうちゃん抱っこさせて。」といってさりげなく私の息子を抱っこしてくれたり、料理を取り分けてくれたり、なんだかなんだか、女性ってすごいなあと思った。細やかってこういうこと言うんだろうな。このエスパー並みの能力は確かに社会に必要だと強く思った。女性が働きやすい社会になることが、多分日本を救うんだろうな。
子育ては大変で苦労の連続だろうが、母達はものすごい早さで苦労を忘れて行く。「今まだうちの子3歳だけど、細かいこともう忘れちゃったよ〜。オムツっていつからパンツタイプに変えたかなんてもう忘れたよ〜。」と笑って言っていた。下痢をまきちらかしたことも、熱を出して夜中に病院へ駆け込んだことも、母達は日々色んな出来事が降り掛かり過ぎて苦労も一緒にどうやら忘れて行くらしい。
産まれて3ヶ月の女の赤ちゃんとお母さんが後からやってきた。ついこのあいだまでうちの息子も3ヶ月だったのに、その3ヶ月の女の子のあまりの小ささと儚さに私は驚いてしまった。私も、どうやら3ヶ月前のことなんて忘れてしまったようだ。あれほど痛かった授乳の際のチクビの痛みも、もうどんなのだったか忘れた。今では息子はチューインガムのように私のチクビをのばしまくって引っ張っているが、何も感じない。すんげー伸びている自分のチクビにただ驚いている。