夫が社員旅行で居ない休日。大学時代からずっと仲の良いさっちゃんとかおりちゃんが遊びに来てくれました。二人とは、大学を卒業してからも練馬のオンボロ一軒家で一緒に5年間も住んでいました。5年間一緒に住んでいても、嫌だと思った事は一度もなくて、一緒に住んでいる一瞬一瞬が私は楽しかった。休日の朝にぼけーっとテレビ観ながら一緒に朝食を食べたり、冬にはコタツでうだうだしたり。何にも予定がなくても楽しかったなあ。
そんな二人が来てくれるのだから、一ヶ月前から私は嬉しくてそわそわ。そわそわ。当日は朝からカレーを作って待っていました。私のカレーは、普通過ぎて何の工夫もないですけど。得意でもないくせに、お客さんが来る時はこれしか思いつかなくて毎回カレーなんです。夫から言わせると甘過ぎるらしいです。だって辛いの嫌いなんですもの。
交差点の向こうに二人を見つけると、もう嬉しくて息子を抱きかかえて走りました。あ〜なつかしいなつかしい、その笑顔。その声、その仕草。私はもう興奮して、何からしゃべっていいか分からなくて、息がきれるくらい。二人も「もう、何からしゃべっていいか分かんないよね。分かる分かる。忙しいよね。」といって笑っている。
かおりちゃんは、めっちゃ美味しいアイスコーヒーとキウィのジュース、さっちゃんは写真にある美味しそうなタルトをおみやげに。かおりちゃんのチョイスはいつもおもしろくて、基本は「自分が食べたいもの」らしいんですが、その姿勢が好きです。私達はみんな食いしん坊だったから、食べ物があるとそれだけで盛り上がれたのも楽しかった。
「な〜んか、これがせっちゃんの赤ちゃんなのか〜って感じだよね。すごいね〜。なんか信じられないね〜。」不思議そうに私の息子をあやしてくれました。私も、まだまだ毎日不思議に思ってるくらいだから、二人もそら不思議だろう。二人は、練馬の家を出てからも、それぞれ東京でちゃんと生活している。私は三重に帰り、結婚をして、子どもを産んで、また今東京に居る。私の知らない二人のそれぞれの人生が進んでいた。
さっちゃんはもう小学校の図工の先生になって7年目で、ベテランの風格さえ漂っている。「子どもは、なんでもがんばるから、なんかそれがすごいと思う。」と言っていた。かおりちゃんは3回くらい転職して、今は看板を作ったりする会社に勤めている。その会社の社長さんが、流行に乗じて会社の名前を「おもてなし」に変更しようとしていることにモウレツに反対していた。「せめてクリステルにしてほしいよ。」とか言ってのがおもしろかった。大学時代の同級生の間にはぞくぞくと赤ちゃんが産まれていて、その赤ちゃんを見に行った時の写真を見せてくれる。
「え〜すごい!すんごいいいパパしてるんだね。あの子が!」とか「彼女が尻にしいてるらしいよ。」とか、懐かしい懐かしい友達の話が出てくる。みんないろいろあるんだよなあ。いろいろって便利な言葉だよなあ。
夕方5時過ぎて、そろそろ楽しい時間はおしまいに。私が息子のおしめを換えている間に、いつのまにか食器を洗ってくれていた。女性ってそういうところがすごいのよね。また交差点まで二人を見送りに行って、手を振る。「せっちゃん、赤ちゃんが大変な時は、言ってよ。」と言いながら大好きな二人は帰って行った。