長らくうちのベビーベッドは殺風景だった。それはもう殺風景で、ただのオムツ替えの場所として存在していた。我が家では「便所」と呼んでいたほどだった。このままでいいのだろうかとうっすら思いながら日々が過ぎていたが、ある日図書館で手に取った育児書に、「ねんねの時期の赤ちゃんにはぶらぶら揺れるおもちゃをあげて、刺激を与えよう!」みたいなフレーズがでてきて、もうそしたらそれのことしか考えられなくなって来ていた。私は常に情報に踊らされる踊り子である。
どうやら世間では赤ちゃんのベビーベッドにつるすおもちゃをメリーというらしい。へー、知らなんだ。
そう、私がメリーシンドロームになっていたころ、夫のお姉さんから「何か必要な物があったら言ってね。」というありがたいお言葉をいただいた。すかさず私は「めめめめめりーください!!!」とお願いした。数日後、立派な、、、とても立派でかわいいメリーが届きました。
なんと、回る。音楽まで鳴る。しかも曲が選べる。ライトまでつく。床にも置ける。泣き止ませの「けろっとスイッチ」までついてる。すんげー!!大人達が一生懸命「赤子はこうやったら泣き止むぞ!」というのを研究した結果、こういうものが生まれたんだなと思うと、感動すら覚えました。早速うまいことぐずりはじめた息子の頭上に置いてみると、金縛りにあったようにぴきーんと止まった。あれ?生きてる?というくらいにピキーンと。もう目が離せないという感じで、釘付け。へー、すごいもんだ。ありがとうございます!お姉さん!!助かっています。
そしてその数日後、今度は小学校からの友人のまゆみちゃんから、おしゃれなぞうさんのモビールが届きました。もう何年も会っていないのに、優しいなあ、、。まゆみちゃんももう二児の母です。最後に会ったのは確か25歳くらいだったかな?
小学校から続いてるって結構すごいぞ。なかなか会う事はないけど。もう、本当にそれこそ給食の人参が食えない事だとか、トイレで恥ずかしくってウンコできないってことが人生最大の悩みだったころからの友人ですよ。でも私は小さい頃の事の方がよく覚えてるので、それこそまゆみちゃんがもう二児の母だとか、自分が子ども産んだとかのほうがなんかおかしな事です。
まゆみちゃんは、すんげーの。色々カリスマだった。頭が超良くて、中学校では学年トップ。私もよく数学や算数教えてもらいましたが、なにせ彼女はどこが難しいのか分からないもんだから、説明聞いても私全く分からなかった。頭がいいのに、ちょびっと不良で、校則違反の髪留めとかソックスとかもはいてしまうんだけど、成績がいいから先生もなかなか注意できないの。当然のように、超モテていて、大勢の男子が彼女を取り合っていたのを私はよく覚えています。よく考えたら、どうして私あんなカリスマと友達だったんだ?って不思議に思うくらいでした。当時はそんなこと何にも思わずに、私はなぜか彼女の頭の匂いを嗅ぐのが好きで、よく嗅がせてもらっていました。ミルクの匂いがするのでした。ちょうど私の息子のような、赤ちゃんの匂いが、そのカリスマからはするのでした。
まゆみちゃん、ありがとう。おしゃれなぞうさんが、優しく揺れています。