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イラストレーター瀬島志保子のブログ
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母、倒れる。

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最近、友人のひとみちゃんが「そろそろ絵本読み始めてもいいかもよ」と言っていたので、絵本の読み聞かせをするも、いつもモウレツに嫌がられて悲しく幕を閉じている。母ちゃん、下手かな?そういえばうちの母は、ものすごく絵本を読むのが上手だった。絵本には書いていないオリジナル効果音を、巧みに繰り出すエンターテナーであった。そのおかげで、なぜか笑う場面でない箇所でも、私ら姉妹はゲラゲラ腹を抱えて笑っていたのを覚えている。絵本の作者からしたら不本意な状態だったかもしれないけど。

ところでタイトルの「母、倒れる。」の母とは、私の事である。金曜日に、何か乳が痛いの〜と思っていたら、突然39度も熱が出てぶっ倒れた。またもや乳が詰まったようだった。どんだけ乳は私を苦しめるのか。

しかも高熱が出たのが深夜のことで、まだまだ頼りになる私の母は血相を変えて、産婦人科に電話した。「すぐこい。」とのことだったので、たまたま大阪から来ていた姉に息子を託して、私は両親の運転する車にふらふらと乗り込んだ。夜の道路を突っ走る親の背中を見ていたら、ほろりと来た。私はまだまだこの人たちに守られていると感じた。まだまだ親の背中は、私にとっては大きい。

深夜の産婦人科、院長ののりちゃんが静かに私の乳を揺する。乳を揺すってもこれだけさわやかなおじいさんは、世界中探してものりちゃんしか居まい。「う〜ん、そやなあ。多分ここのつまりのせいやなあ。赤ちゃんに影響の無い弱い解熱剤と葛根湯出しとくから。あとは看護師さんにしぼってもらって。冷やしとくんやに。」

私が勝手に心の中で「まゆみ」と呼んでいる若い看護師さんが、しっかりと描かれた眉毛を上下させながら乳を搾ってくれた。まゆみが、すこぶる一生懸命「詰まらないための工夫」やらなんやら話してくれているのに、私は眠すぎて目が白目で聞いていたらしく、途中でまゆみが笑い出した。もうなんでもいいから眠りたかった。まゆみ、あとはよろしく、と言わんばかりに私は突然横になり、まゆみは眠ったままの私の乳を搾り続けてくれた。

が、詰まりは完全には取れなかった。なので熱のひいた本日、私はまゆみを裏切って別の母乳外来に車を飛ばした。Yクリニックのおっぱい外来へ駆け込むと、夏風邪をひいたメガネのおっぱいスペシャリストが出て来た。スペシャリストは、マスクをして咳き込みながらも、一生懸命私の乳を搾ってくれた。私の乳が四方八方に飛び散って、スペシャリストのメガネも乳だらけだったが、詰まりが取れた。風邪でしんどいのによくぞ他人の乳を搾ってくれた。多分「はー、やってらんねーよ。」とか思ったかもしれない。あんたが頼りだ、助けてくれてありがとう。

スペシャリストは的確に、乳のしぼり方を私に伝授し、去って行った。

帰りの車から見える経が峰が、青々と美しく爽やかであった。詰まりが取れた私の心が見せた風景だった。おっぱいが詰まるたびに「神様、ごめんなさいごめんなさい。私の何がいけなかったのでしょうか?心を入れ替えるのでこの詰まりを取ってください。」と願って、なんとかやってきている。あと何度私はおっぱいに泣くのだろうか。もうすぐ東京生活が始まる。東京には、おっぱいスペシャリストはいるだろうか。不安な日々です。

  • 2013年7月17日
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コンクリートロード。
大阪の人々。
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