ShihoSeji Blog

イラストレーター瀬島志保子のブログ
Skip to content
  • ホーム
  • ポートフォリオ
  • 自己紹介

姉、戻る。

130529_165731

 

私立高校の英語教師を突如辞め、貯めた金をトランクにつめて、1年スペインに留学していた姉が帰って来た。女寅さんの異名を授かりながら、今までも数々の国をふらふらとしてきた姉。「今度で最後やもん。」との捨て台詞を吐いて、必死で止める家族をふりほどいて、スペインで何をしておったのやら。

スペインに行っているはずが、ある時はギリシャから、ある時はイタリアから、毎月のように違う国から絵葉書が届いていた。その度に、父や母は「あいつ〜!どこでなにやっとんのや。」と嘆きつつも無事を知る。私のパソコンには、サングラスをしてオープンカーに乗っている姉の写真が届いていた。その度に「ママ、ねえちゃん、遊んどんねんで!」と私は母にちくっていた。

その姉が「甥っ子が産まれた〜!」といって、元気に帰って来た。髪の毛は雑木林みたいにぼっさぼさだった。向こうでハレンチな水着でも着ていたのか、おかしな日焼けをしていた。写真は、姉からのおみやげ。生ハムと、オリーブの缶詰と、甥っ子の服。

体力がバイソン級の姉は、育児に疲れきっている私の強力な助っ人となった。息子が泣けば、ヘラヘラ笑って抱っこしてくれた。そして初めて姉が息子のオムツを替えてくれたとき、息子のオケツから姉めがけて一筋の黄土色の塊が発射された。「あひゃ〜!」という姉の叫び声。初めてのオムツ替えなのに、姉は息子にウンコを浴びせられたのだった。私はショックであった。じゅうたんにも、私の布団にも、もちろん姉の服にもべったりとウンコが浴びせられたからだ。ところが、姉は死ぬ程楽しそうに笑っていた。お腹を抱えて笑っていた。膨大な洗濯物を考えてショックだった私も、あまりに姉が楽しそうだったので、一緒になってお腹を抱えて笑った。「三十路シスターズの悲劇」だと思っていたら、「三十路シスターズの喜劇」に変わっていた。元気で楽観的で前向きな人間というのは、すごい。と私は思った。松岡修造みたいだと思った。

130531_163613

 

三重に来た次の日から、私の中学時代のジャージを着て、姉はばあちゃんの畑に通い始めた。「私農業するわ〜。」と言って、ウソか本当か知らんけど大口をたたく姉を見て、ばあちゃんは涙を流して喜んでいた。

ばあちゃんの耕耘機「ポチ」をへっぴり腰で操る姉。完全にポチに踊らされていた。それでも、鋼の心臓を持つ姉は、朝から夕方まで、エネルギーを放出し続けてばあちゃんの畑の草を抜き続けた。「なおちゃんは、どないなっとんのやろ?」ばあちゃんも姉の凄まじい体力に、むしろ不安を覚えていた。おやつに出したでっかいまんじゅうを3つ食ったらしい。

姉はゼンマイ仕掛けのおもちゃのように、ゼンマイが切れたら突然倒れるように眠った。それまでは、エネルギーを放出し続ける。父が、「オレにとって、あいつは男や。息子みたいなもんやな、、、。」と言っていたが、ジャージのズボンからだらしなくシャツを出している姉を見て「シャツをしまいなさい。」と注意していた。30過ぎて身なりを父から注意される姉だったが、やはり私の赤ちゃんを苦もなくあやしつづけてくれて、お風呂にも入れてくれる。なにせ体力がバイソンだから。

彼女はとてもピュアハートな人間である。元気に帰って来てくれて、とても嬉しい。

  • 2013年6月3日
  • 日々
乳トラブル。
ホルスタインデビュー。
  • 自画像

    イラストレーター 瀬島志保子 のブログです。

    作品は 作品サイトでご覧下さい。

    • 自己紹介
    • 作品サイト
  • 検索

  • 最近の投稿

    • 姉の赤ちゃん
    • コロナになって時間ができた。
    • 息子の絵
    • 「ろくべえまってろよ」イラスト描きました。
    • 夏は色々2018。
  • カテゴリー

    • イラスト (238)
      • 4コマ劇場 (123)
      • その他イラスト (5)
      • 映画イラスト (109)
    • おしらせ (44)
    • 日々 (417)
    • 未分類 (1)
    • 観たり聴いたり (16)
  • アーカイブ

  • リンク

    • 絵描きかおりちゃん

©2007-2025 ShihoSeji Blog

Powered by WordPress