この日は本当は近所に住むよーこちゃん夫妻とお花見ピクニックするはずだった。でも前日に私と夫がケンカして(と私が思い込んだ)「もう花見なんて行けないわ、うっうっ。」と悲劇のヒロインぶった私が言ったのでとりやめになった。私は前々から「のり巻き」を作る為に巻きすやらすし酢やらカニ缶やらをウキウキ調達していたのに、女は本当に面倒くさい生き物だ。いや、面倒くさい生き物は私だ。この日は本当に自己嫌悪でした。
よーこちゃん夫妻にはどのようにお詫びしていいのか分からないほど悪い事をしてしまった、、、にも関わらず、「じゃあうちでケーキ食べようよ」と天使のような誘いを再びヨーコちゃんから受けてノコノコ鼻水たらしてケーキをよばれにいった。よーこちゃんはこんなノコノコ野郎にもどうしてこんなに優しくしてくれるのだろう。私だったら私のようなやつとは絶交だ。花見を楽しみにしていたのはよーこちゃんも同じで、取りやめになってヨーコちゃんは悲しくて泣いたのだ。本当にごめんね。
そんなノコノコ野郎の私は、さっさと夫と仲直りし、最近シロブタみたいになってきたのでランニングしがてら川沿いの桜を観に行こうとなった。よーこちゃんと「きっとこの日はまだ寒くて咲いてないよね」と言い合ってたのに、咲いてた。胸が熱くなった。桜はまってくれないんだもんね。今日は一回だけだったんだ。
私と夫は花見がメインじゃないんだと自らに言い聞かせるように、上下ランニングの格好で、スポーツサングラスなんかして、キヤップかぶってポニーテールして、花見の屋台のなかをぶらぶらした。少し走っては、私が「休もうよ〜休もうよ〜!」とそそのかして、ランニングじゃなくてウォーキング、いや、ただの散歩になった。
春になって人々はいい意味で浮ついている。春のその様子をみるのがとても好きだ。でも大学入学したばかりの年の花見の声は、私を不安にさせた。まだ友達もいなくて、不安な気持ちの中で、花見で楽しそうにしている人々の声を聞くのはさみしかった。そんな中で私はよーこちゃんに出会ったのだ。「この子とは仲良くなれそうだ」と私を安心させたのはよーこちゃんだったのだ。
それを思い出して懐かしくてまた少しさみしくなった。