
花村萬月さんの本です。光文社さんから出版されています。この本の装画を描かせていただきました。
小さな女の子が出てきます。「最愛の存在を得てしまうということは、実は地獄と表裏であることを薄々悟ってしまっていた。」という言葉が出てきます。私は常々、この言葉を自分の中にもって生きてきたような気がします。それは幸せなことなのです。本当に幸せなことなのだけれど、それを失ってしまったらどうやって生きていったらいいのかわからないという不安がつきまとうのです。失ったら自分も死んでしまいそうな存在を、私は多くもっていると思う。
子どもを授かって、その想いが一層強くなってしまった。我が子をもしも失うようなことが起きたら、そう思うだけで背筋が凍ります。スーパーで見失っただけで、冷や汗が私の体を覆い尽くします。テレビで小さい子どもが交通事故に巻き込まれたというニュースを観ると、胸が張り裂けそうで知らない間に涙があふれます。最愛の存在を得た私は、生きている間その不安から逃れられることはないでしょう。
「いまのはなんだ?地獄かな」は58歳で初めて子どもを得た小説家の男性の話です。それまでは「家族なんてクソだ」と思って生きてきたその人が、子育ての喜びを知ってのめりこんでいく様子が、そこはまぎれも無く花村さんの実体験だと思うのですが、本当に真面目な愛情で溢れているのです。痛々しいほどに真面目な愛情なのです。その姿に、私は何度も嗚咽をもらしていました。
どこまでが本当の話で、どこからがフィクションなのかその境目が限りなく曖昧な、今まで読んだことのない小説でした。
この小説の、女の子を描かせていただけたのは、本当に驚くような体験でした。多くの方の手にとっていただけたら嬉しいです。

今は便利なグッズが出とる。日本人って、それこそかゆいところに手が届くグッズを展開してくれる。
息子は成長するにつれ、雨でも一日中家にいられない感じになってきた。どうにかしてこの若いエネルギーを発散させないと大変なのだ。夜も寝てくれないし、昼寝もしないし、叫ぶし、走るし、いたずらばっかりするし。なので、私は午前に一度公園で走らせ、午後にもう一度公園に連れて行き走らせている。くたくただ。真っ白だった息子は、だんだん焼き色のついたパンみたいになってきた。私はというと、UVカットのマスクをし、つば広の帽子を深くかぶって、隙間から細ーく目を出して、危険がないようにだけうっすら息子を目で追っている。
雨の日なんか、泣きたい。公園に行けないからもうこわい。前は雨でも雨よけのカバーなんか持ってなかったからどこにも行けなかったけど、やっと最近ネットで子ども乗せ自転車のレインカバーなんていうのを買った。おまけに、すんげー目立つ黄色のレインポンチョを買った。これは自転車をこぐ私用です。これ着て信号待ちしてたら「そんな便利そうなものどこで買ったの?」とおばあさんに質問されたくらい、黄色い。一応これで外出はできる。息子はレインカバーを嫌がるかと思ったら、のんきに雨の一切当たらないカバー内で悠々と車の本を読んでいる。いいねー、こっちは必死だよ。
雨の日でも、近くの大きな電気屋さんに行って、とりあえず子どもを走らせる。いいのだ、彼が疲れてくれさえすればそれで、我が家の平和は保たれるのだ。

その近くの電気屋には車のおもちゃがいっぱいあって、息子はバスが好きすぎるので、都バスを買う。こうやって、雨の日には少しずつおもちゃが増えて行くのであった。早く幼稚園にはいってくれんかな。

桜が満開の公園。初めてこんなに桜を見たであろう息子だが、彼はひたすらに、他の子が持っている車のおもちゃを追い回していた。

6年間育てて来た息子は、他人の子だったという話。福山雅治さんが出ていて話題になっていましたね。賞を取ったり、スピルバーグがハリウッドでリメイクしたいと言ったり、何かと話題でした。
福山さん演じる野宮家は東京の高層マンションに住むエリートサラリーマン一家。 かたやリリー・フランキーが父親を演じる一家は小さな電気屋を片田舎で営んでいるという、対照的な家族が出てきます。なんか服の色味からして対照的で、エリート一家はダークなトーンばかりの、襟のつまった服ばかり着ていて、電気屋さんの方は明るい色の、それこそアロハシャツやタンクトップなどのラフな服装ばかりという感じでした。
取り替えられてしまった子どもを、生みの親へそれぞれ戻すのか否かというのが問題になってくるのですが、子どもがいる身として、自分にそんなことが起きたらどうすんだろ?と考えました。ネタバレですが、最後このお話も結論が出ないのです。二つの家族は迷い、揺れているままなのです。もし自分だったら子どもの希望をとにかく聞きたいと思います。このお話では子どもに本当の事を話さないまま進んで行きます。だから子どもは急に親が変わって戸惑い、自分は捨てられたんだと思って傷つくのです。
6歳の子どもだからって、真実を話さないというのは私はおかしいと思いました。子どもは、話せば分かります。それで、何が正しいのか、どうすればいいのかという答えを出すのが難しいとしても、真実を知ってるかいないかで子どもの心は全然違うと思います。真実を話し、その時の子どもの希望を聞き、また子どもの心が変わったら話し合って、出来る限り希望を叶えてあげたいと思います。自分で選択した答えだったら、子どもも受け入れられるかもしれません。そして子どもに、決して愛情が失われたという事ではないのだと繰り返し伝えなくてはなりません。
あ、でもこの話は父親の有り様の話だったのか、、、。いやもう、どっちの親でもいーよ。どっちも良い父親だと私は思いました。リリーさんでも雅治さんでも、どっちも素敵よ。暴力ふるわないし、普通に働いてくれて、子どもの事で真剣に悩んで、それで十分だと思います。

去年の秋頃に回転寿司屋に行った時は、それはそれは息子がもう大変で、回転台へ手を伸ばして大騒ぎになり全く落ち着かず、それ以来回転寿司やへは行きたくても行けない状態が続いていました。
あれから半年、そろそろどうだ?と我々家族3人は近所で大人気のスシローへ向かったのです。大好きな車の本と、おもちゃをリュックに詰め込みドキドキしながら入店。さすが、子どもの多い江戸川区、店内は小さい子ども連れの家族がほとんど。ものすごい賑やかです。これならちょっとくらいうるさくてもおおめに見てくれそうです。
それにしても最近の回転寿司屋はハイテクですね。もう全部タッチパネルなんですね。でもこれだと廃棄ロスなどが少なくすみそうで効率がいいかも。でも年配の方にはタッチパネルって結構ハードル高いと思います。私もあまり得意ではありません。どうも指の感度が低くて、なかなか注文が通らない。たまにイライラしたりします。しかも、ここのスシローはどうやら超超繁盛店らしく、席は常に満員、待合室も満員、その結果タッチパネルの注文は常にパンク中で「ただいま大変混み合っています」の表示が出っぱなしでした。いやー、すごいなスシロー。
たまに流れてくるお寿司も、作った人の焦りがにじみで出る(笑)。たまにネタがひっくり返ってたりする。イクラが乗っていないはずのお皿にイクラが2〜3粒乗ってたり。ああ〜、厨房はきっと戦争なんだなと思うとちょっと胸が痛みました。こっちも焦らないで待たなきゃ。
うちの息子はというと、子供用椅子をもってきたら落ち着いたらしくて、かなりお利口にしてくれていました。よかったー!これなら外食にちょくちょく行けるかも。まあ、お茶は一度ひっくりかえしたけどね。そして彼の好きなネタが判明。イクラです。もうイクライクラ、イクラしか食べない。イクラだけ4皿分くらい食べました。一皿100円じゃないと無理だよ。

私は、テレビでやっていた「近代マグロ6点盛り」を注文しました。食べてみたかったんです、これ。食べてみると、はっきりと違いがわかりました!ほんとに美味しかった。ふーん、違うもんだね。
前は、外食したら大変すぎてうっすら家族内が険悪ムードになったりしましたが、今回はとても楽しく過ごせて良かった。息子もいつも私のご飯じゃ、なんか気の毒だし。世の中には色々美味しい物があるということを一緒に体験していきたいもんです。

大阪在住の姉が、また東京に遊びに来ました。なんでも、興味のある大学教授の最後の講義を聞きに来たのだとか。そのイベントは次の日で、この日は私と息子と一緒に一日過ごしてくれました。今まで姉が泊まりに来たのは3回で、一回目は錦糸町に行き、二回目は東京スカイツリーに行き、今日は電車に乗って船橋のIKEAに行きました。
朝9時に、夜行バスに乗ってやってきた姉が我が家のチャイムを押したときから、息子はその日寝るまでウキウキでした。大好きなおばちゃんです。こんなにも自分の事を飽きもせず可愛がって相手をしてくれるのはこのおばちゃんだけです。自分の好きなおもちゃを一通り紹介して、姉が少しでも自分の側を離れるとすぐに声を荒げて呼びに行きます。そんなおばちゃんが今日一日側にいてくれるのです。そんな息子に姉は全力で応えます。奇声を発し、おしりを振ってダンスし、大声で歌います。
IKEAでも、私は姉が息子を見てくれるのをいいことに、自分が見たい物を時間をかけて物色。掛け布団カバーを買いました。

ランチは、初めてIKEAのレストランで食べました。休日は超満員で座る場所もないのです。この日は平日だったのでゆったりと座れました。私はミートボールのサンドウィッチを、姉はミートボールとマッシュポテト、息子はお子様カレー。お腹が空いていたのか、息子はモリモリカレーを食べ、モリモリとウンコもしました。予想外のウンコの量に冷や汗が出ました。

そのあと、お隣にあるららぽーとに行きました。ベビーカーを借りて広い広い店内をぐるぐる。私は久しぶりのショッピングモールが楽しすぎて「あー楽しいあー楽しい。」をつぶやき続けます。ショッピングは姉と行くに限ります。中学生の頃からずっとそうです。方向音痴の私は、方向感覚が抜群でこわいもの無しで、体力のある姉とショッピングするのが大好きでした。「あの店に行きたい」と場所の分からない私がつぶやくと、「えーっとな」と言いながらどうにかしてでも絶対に希望の場所まで連れて行ってくれます。
私はだいたい舞い上がって、判断力を失いがちですが、姉は昔からおじさんのように冷静であまり舞い上がったりしないので、私が「これどうかな?買おうかな。」とか騒いでいても姉が隣で低い声で「いらんやろ。それは。」と言って軌道修正もしてくれます。
しかし、甘味に関しては姉は乙女です。必ずいつも甘いもの休憩をします。ソフトクリームとか、パフェとか。この日はパンケーキでした。「大きいから半分こしよ」とか言っても、だいたいいつも足りなくなりますが、姉妹ですから半分こも遠慮がなく食べれます。本当に気楽で楽しいのです。夕飯は私の望み通り、スパゲッティです。私の望みは姉といると、だいたい叶えられるのです。楽しすぎて楽しすぎて、一日中歩いていたのに全然疲れませんでした。息子も、念願の電車に乗って、たくさんの車も見れて満足そうでした。
そうして姉は我が家に一泊して、今日の朝お別れしました。賑やかな姉が居なくなると、寂しくて寂しくてたまりませんでした。息子も、つまらなそうに、私のあとをめそめそしながらついてまわっていました。今度は5月におばちゃんに会いに行こう。