タイトルだけ見るとなんか疲れそうですけど、いやはや癒しでした。景色がぞくぞくするほどきれいです。イギリスだから基本曇ってるんですけど、だだっぴろい平原をもくもくと歩くシーンとかは例え映像といえども癒されるもんです。
中流階級の5人姉妹の嫁入り話ですが、若草物語よりはリアルです。お母ちゃんが下世話な感じとか、暖炉の前とかで姿勢を正してお父様の手紙を皆で読んだりとかしてなくて、みんな寝そべってぷらぷらしてて超だらしないところがかわいらしい。無愛想なお金持ちMr.ダーシーも最初冴えない暗いおじさんなんだけども、徐々にその無骨なもみあげの魅力に取り憑かれて行きます。
これ、長いんです。スリーまで持ち込めよっていうくらい詰め込んでます。エジプト行ったり学園生活楽しんだりしちゃって。でも、物足りなさを感じるよりは、お腹いっぱいの方がもちろん好きですから結果いいような気がします。
これが特撮レベルだったら、ただのオタク映画ですが、ここまでCGがすごいとこんだけ全世界巻き込めるんだぞ、という意気込みが感じられました。特に金属音の表現がものすごく「現実っぽさ」を醸してくれています。後半やりすぎてて笑えました。もう金属音しか聞こえない、みたいになってました。しかし変身するスピードが速すぎて、結果よく見えなくて、いいようにごまかされているんじゃないのかしら?と疑惑を持ちながら、それでも驚かせてくれました。
ターミーファンからはあまり指示をえていないようですが、私は好きです。なぜなら、ターミー3でのジョンコナーが、あまりにもヒーローからかけ離れていたからです。ニート臭がしました。だから、今回のジョンコナーは、まさにカリスマ指導者の威厳が漂っていたように思えたのです。
そして、それまでの女1、男1、ターミー。以上、の3人だけで逃げ惑い完結。というシンプルすぎる展開ではなく、この先を予感させるたくさんの個性的な登場人物がでてきたことが、もっとみたーい!!と思わせてくれました。ヘレナ・ボナム・カーターの存在感がキラリでした。ああいうひとを個性派女優というのでしょうな。
もーおかしいくらいハリウッドな味付けと、原作をかなり無視した展開に序盤はがっかりさせられましたが、「ま、いっか」と原作への執着を捨てたら、それなりにハリウッドマジックに呑み込まれていきました。
私が楽しみにしていたのは、イタリアやヴァチカンの舞台が実際視覚化される、という点でした。どこまで本物の舞台を使用できているのかは分からないですが、ちょこっと満たされました。許可取るの大変だったろうな、とか思うと、あまり非難できないものがあります。トム・ハンクスの三重あご好きだし。
多分、同じストーリーをハリウッドで撮ったとしたら、とんでもなく陳腐だったでしょうが、インドという最高に見応えのある舞台が、この映画を素晴らしく素晴らしく魅せていますね。でもインドの監督が撮ったとしたら、これまた全世界で大ヒットするような味付けになっていなかったでしょうから、すべてのものが絶妙にミックスされて生まれた映画だと思います。
「こんなことあるわけないよね??」と思ってしまうようなことが、あり得る話に思えるから不思議。完全にインドに行って来た気になりました。ガンジス川でうんこといっしょに泳いだかのような、もしくは人と動物と食べ物が溢れる列車で汗まみれになったような。