初めて夜の二時まで起きていたとき、わたしは9歳で、達成感があった。
一緒にいた友達と「すごい、夜の2時だよ!」といって抱きしめ合った。
今、午前二時を通り過ぎる事が珍しくなくなって、
わたしの知らない事は少しずつ少なくなっていくのだろうと信じていたけど
世界はまったくそうではなくて、
ひとつのことを知れば、その向こうの無数の未知を知ることになるのだった。
それを知りながらそれを知らないふりをすることも
いつしかするようになるのです。
午前3時を迎える前に眠ってしまった9歳の時のように。
今日は渋谷で3匹の生き物を見た。
ハチ公の花壇の植え込みでネズミ。
花壇で見るとなんと自然でかわいいく見えるのか。
ふたつめはセンター街で踏まれた小鳥。こちらは絶命。
巣もみあたらないのにどうしてこんなところで死んでしまったのかと思う。
私は巣から落ちて絶命しているひな鳥を、世界で一番よく発見すると思っている。
みっつめはTSUTAYAの入り口でオレンジ色の大きな蛾。
あっと、思った瞬間。女の人のハイヒールにはさまれていた。
すべてが流れるように目の前に現れて死んでいたりかわいい顔をしていたりする。
みっつの生き物は私に何も伝えない。
頭をオレンジがうろうろとするだけ。