最近なかなか集中して映画を観れませんが、これは前から観たいなーと思っていた映画でした。美術に詳しいくない人でも「あれ、これどこかで見た事あるな」というような有名な絵画がばんばん出てきます。あれは一体どうやって撮影したのかしら?まあ、今の映像加工技術を持ってすれば何でもできるんだろうけど。突然ネタバレするかもしれないので、観る予定のある方は読まないほうがいいかもしれません。
この映画は、掴みが非常にうまい。「気になる〜どうしても続きが見たい〜!」と思わせる映画です。私も予告をみて、それだけでどうしても観たいと思った者です。凄腕の鑑定士オールドマンが、長年引きこもってる女性から美術品の鑑定依頼を受け、まんまとその女性に恋してしまうわけですね。その女性がなかなか最初姿を見せないので、気になってどんどん続きがみたくなるという訳です。全然姿を見せない女性が、いざ姿を現した時に、めちゃくちゃ美人だったら、誰だって好きになってまうんやないかと思います。しかも自分だけを信用して頼ってくれたら、何だってしてあげたくなりますよね。
私はこの監督の映画は好きですが(特に「マレーナ」)この「鑑定士〜」に関して言えば、好きになれませんでした。あまり「救い」を感じなかったからです。オールドマンは、孤児院で育ち、苦労して自分の鑑定の腕を磨き、頑張って生きて来た老人なのです。その老人をよってたかってみんなでいじめるという展開が私は好きではありませんでした。
好きではありませんでしたが、人の人生の中で、本気で人を好きになって、その人と少しでも心と体を通わせたという経験があるということと、全く何もない人生のまま終わるのとを比べたら、例え騙されたのだとしても、オールドマンは本気で彼女を好きになった人生を選ぶのかもしれないと思いました。この先二度と誰とも恋をしなかったとしても、オールドマンはあの一瞬の恋を糧に生きて行けるのかもしれません。