うちの社宅からスカイツリーに自転車で行けるって、最近夫から聞いた。窓から見えてるけど、窓から見えてても、とても行ける距離じゃないんだろうと思っていたので、興奮して「行こうやああ!」と叫んだ。
昨日は晴れてたので、決行した。いやー、電動自転車めっちゃ便利。電動でなかったら子ども乗せてなんて私とても無理です。夫はスポーツタイプのほっそいタイヤの自転車でスイスイ。私は白バイみたいな電動自転車でガッシャガッシャ、がんばりました。息子は前の座席から、通り過ぎる車を指差して何かしゃべり続けていた。
初めて真下から見たけど、もうなんだかおかしい。おかしな景色です。息子も鼻水垂らして、口を開けて天を仰いでいた。でっかく見えてきた辺りから景色おかしい。スカイツリーの周辺の小さなアパート群とそのベランダに干された洗濯物という日常の光景、ふと前を向くと、宇宙人が襲来してきたような「インディペンデンスディ」なスカイツリー。「うわー!なんやあれええ!」と叫ばざるをえない。
もちろん、ツリーには登りませんよ。あんな行列小さい子持ちには並べん。しかも今高いお金を出して登ったって、なーんも息子は覚えてる訳ないからね。もったいないよう!私の目的は麓に広がるソラマチです。
ああああ!この賑わい。立ち並ぶお店の数々、すでにクリスマスカラー一色で、もうミーハーな光景に恥ずかしながらウキウキしますね。久しぶりだよ、こういう場所。いつも公園か図書館か西友だもんね。
自転車をどこに止めるかすごく心配しながら行ったのだけど、さすが違法駐輪を防ぐために徹底してました。駐輪場は2時間無料!へー、思ったより良心的なのね。これで思う存分ソラマチを楽しめる。
って、そんなうまくいくわけないんです。息子がいると。もう、走り出す走り出す、私たちが行きたい方向とは正反対の方へ。「おいてくよ!」「バイバイだよ!」いくら叫んでもついてこない。しょうがないから抱き上げると、大暴れで泣き叫ぶ。私たちは人さらいか。結局決定権は息子に。
なぜか犬のカレンダー売り場から離れないので、私たちは、ずーーーっと犬のカレンダーばかり見るはめに。あー向こうに行きたいのにー。散々自分勝手をして、疲れると「抱っこしろ」と手を挙げ、抱っこしていたかと思えば、急に私の腹を蹴って「おろせ!」とのサイン。その傍若無人な振る舞いに、温厚なはずの夫もさすがにムカムカしていたようでした。
「もう、帰ろう。」と私も夫も疲れて、私は何にも買わずにすごすごとスカイツリーを後にしました。まあ、予想していた通りですよ。迷子にならないだけよかった。
暗くなった川沿いの道を、どんどんスカイツリーから遠ざかって自転車を走らせていると、なんだかとても不思議な懐かしい気持ちに。冬の川沿いって妙に懐かしいもんです。22歳から27歳まで東京の練馬に住んでたときも、真ん前に川沿いの道があったなあ。あのあと三重に帰ったり、結婚したり子どもができたりして、またこうやってなぜか東京の川沿いを、自転車の前に子どもを乗せて走っているのが、すごーくヘンテコに思えました。「なんか変やで!変や!」と叫ぶ私に、夫が「何がだよ!」と笑いながら返していました。あの時の私が知らない人たちと、今家族になっている。う〜ん、変でおもしろい。
きっとスカイツリーの異様な光景を見たから、頭がぐらぐらしたんだね。さあ、炊飯器のスイッチを押しに帰るのだ!今日はシチューなのだ!