里帰り出産の準備として、三重の産婦人科で一度診てもらう事にした。一泊二日で三重に帰る。
孫の為に畑から大根を引き抜いて来たおばあちゃん。里帰りすると、私は必ずばあちゃんから、米と野菜とお漬け物をいただいて帰る。そのついでに、コタツでしばらくおばあちゃんとしゃべる。だいたい、おばあちゃんは昔のアルバムを出して来て色々説明し始める。
ばあちゃんには、娘が3人と、私を含めた孫が6人、ひ孫が二人いる。私がうまいこと出産できれば、ひ孫が3人になるというわけだ。私が出産が恐ろしいなどと弱音を吐いていると、ばあちゃんは奥から分厚いメモ帳を出して来た。どうやら自分の娘3人の出産についての詳細なメモのようで、それを見せてくれた。
私の母は3人姉妹の中で最も出産が軽く、初産なのに2時間くらいしかかからなかったらしい。そのせいで、第二子である私が産まれる時にいたっては、母が分娩室に入るやいなや、「この人が噂の、超安産の人?」といって、看護婦さんが見学にきたらしい。そして私もあっというまに産まれたのだった。おばあちゃんのメモによると、母はつわりもなく、産む直前まで働きまくって動きまくっていたので、それが良かったのだろうと。母自身も、毎日忙しく働いていたら、いつのまにか出産の日になっていたらしい。私も確かにつわりはなかったけど、いつもコタツでダラダラしているので、そう易々とは産む事はできないだろう。
私が出産する予定の産婦人科は、おばあちゃんのまた従兄弟が院長先生をやっている。なので、おばあちゃんは、院長先生の事を「のりちゃん」と馴れ馴れしく呼んでいる。その、のりちゃん先生は、私が診せに行くと信じられないくらい丁寧に診てくれた。エコー画像で、どこに何があるのか詳しく教えてくれた。息子のキンタマも、チンチンもどれか分かった。私の母も夫も同席して、みんなで「ほえー!」とか「はー!」とか言いながら、楽しい検診だった。
でもその後のクラミジア検査は、怖くて死ぬかと思った。クラミジアだけであんだけ恐怖なのに、産む時は一体どんだけこわいのかと思う。母の安産体質をもってしても、私の恐怖はなかなかぬぐえない、、、。