6月にいただいた装画のお仕事の文庫が、8月10日に出版されます。
「走れ、セナ!」という文庫で講談社から出ています。著者は香坂直さんです。
このお仕事をいただいた時は本当に嬉しくて嬉しくて。陸上を一生懸命頑張る小学生のお話なんです。小学生の話だから子ども向けのお話なのかと言ったら、実は大人の方にそこ読んでほしい。私は少なくとも読んでいる途中に3回泣きましたからね。おんおん泣きました。セナちゃんの言葉で綴られる物語は、私達大人が思う小学生、、、ではあるんですが、本当にその子が存在してるんです。(何を言ってるのか分からなくなって来ましたが)こういうとき、人はリアルというのかもしれないけど。
セナちゃんは本当に生きていて、こういうことを考えている。周りの大人の事をこう見てて、同級生の事をこう思ってる。今は、とにかく速く走りたいと思ってるのに、大人の変な事情でうまくいかなかったり、どうにかしようとして自分なりに色々考えてる。うちにはなぜかお父さんがいないけど、お母さんのことはすごく好きなんだよ。
講談社の方曰く、「このお話は、児童向けではあるけれども、もっと幅広い世代の方に読んでいただきたいと思って、今回改めて文庫で出そうと思ったんです。」と。
それがすごくよく分かる。セナちゃんが色んな子につけたあだ名の由来を、セナちゃんの言葉で説明してくれるところなんか私はすごく好きでした。
彼女があまりにも生き生きとしすぎていて、描く方は混迷を極めました。夫が今も陸上を続けていて、幸いにも陸上雑誌は山のように手元にあったので本当に助かりました。泣きそうでもなく、笑い出しそうでもなく、苦しい顔でもない。走るのが好きなんだと、前を向いて走る彼女を探して描きました。