何もない不思議街ブラックプールよりバスで5時間。車酔いの果てにやっとの想いでロンドンに辿り着く。やれやれやっと眠れると思ったら、着いて早々ロンドン市内を観光するという。同じバスで。また車酔いをする。長期旅行の後半戦、私はよれよれしたゾウキンみたいになってくる。でも周囲のマジッククラブのおじさまおばさまを見ると、みんな一向に疲れが見えない。バスでビールを飲みながらどんちゃん騒ぎをしている。
えずきながらバッキンガム宮殿にたどりつく。女王様はおいでにならないらしい。なんか思っていたのと違って見えた。有名なバッキンガム宮殿の笑わない近衛兵にも近づけなかった。
この日の夕方、スペイン留学中の姉とロンドンで合流する約束になっていて、それだけが弱った私の楽しみだった。姉は外国に強いので、外国で姉が隣にいると私までもが強くなった気になるのだった。
バッキンガムの流れで大英博物館にも行った。え〜大英博物館をこんなに片手間に観たくないよー!一日中居るべき所でしょー!ツアーだからしょうがない。日本人ツアーガイドの男性が、どうもオカマっぽい。オカマっぽい声で一生懸命見所とかロゼッタストーンとかの説明をしてくれる。勉強になります!
ミイラの部屋が一番おもしろかったけど、写真に撮ると呪われそうだったからやめといた。
あっというまに時間は過ぎて、ようやくホテルに帰ってくる。もうすぐねえちゃんが現れるはずなんだけど。と思ってホテルの前の交差点でじーっと街を見つめていたら、ぼっさぼさの貧乏そうな(でも健康そうな)アジア人が向こうから歩いてくるのが見えた。姉だった。
「外国を歩く時のコツはな、とにかく貧乏そうな格好をすることやで。」と得意げに言った。身なりは貧乏そうだけど、日本に居たときより丸まるとして元気そうだった。今不景気で治安が悪化しているスペインで、まだ一度も危険な目にはあっていないという。二人の友人はどちらもひったくりにあったそうな。こわやこわや。
久しぶりに家族全員が揃ったので、外に食べに出る。ホテルのある付近はアラブ系の人々が多く住む地区で、街には英語とともにアラビア語の看板と水タバコの専門店で溢れていた。せっかくなのでアラブ料理にしようと姉と父が意気投合した。嫌な予感がする。
白いテーブルクロスのかかった清潔感のあるアラブ料理屋を見つけたのでそこに入る事にした。メニューを見てもなんやらわからないので、「おまかせセット3人分」を注文。なぜ3人前なのかというと、外国は大抵量がはんぱなく多いからだ。料理を待っていると、厨房からものすごく大きな怒鳴り声と金属音がしてきた。どうやらケンカしているらしい。大丈夫だろうか。外国に行ってよく思う事は、働いている人が仕事中に平気で口笛を吹いたり、BGMに乗りまくっていたり、携帯をいじっていたり、ガム食ってたり、そうして時には客の目をはばからずケンカしていたりすることが多いということだ。どこの国でもけっこうそうなので、むしろ日本が特殊なのかもしれない。
最初の料理が運ばれて来た。「フムス」というヒヨコ豆料理で、これは最近日本でも食べた。流行っているのかも。美味しかったので安心する。
その後、安心を取り消す事にした。その後でてきたのは、脇の匂いのするスパイシーなメンチカツみたいなやつ、生温くてすっぱい何かを葉っぱでまいたもの。写真の料理はメインで、串に刺して焼いた肉色々。だいたいがパサつきがひどく、ジューシーさは皆無。私は徐々に食欲を無くして行く。反対になぜか「私はお昼いっぱい食べたから控えとくわ〜。」と気取っていた姉が肉に食らいつき始める。任せたぞ。でも、異文化の食生活を知れてよかったと思った。前テレビで、アフリカの人が日本人がカニを生で食べるのをみて信じられないと言っていたけど、まあそういうことなんだろうな。
結局残してしまって、お店の方に申し訳ない気持ち。
明日は姉も一緒にロンドン観光だ〜。