派手なマジックの一例、、、。外人は普段からオーバーアクションなので、こういうときは日本人は不利なのですが、静かでうまいマジックの方が素敵だから、こういうことはしなくていいと思いました。
あと、「もういいやんか」と思うのは、箱に剣をさすやつ。中で刺さってて本当に死んだらそれこそおったまげるぜ。さらには箱に入ってて人が消えるやつ。もはや箱の仕掛けであってあなたの技量じゃないでしょう、と言いたくなるのでした。といっても見せ方のうまさとかも審査に入るからいいのか。ということで、私がここまでマジックについて書いたのは初めてです。(ありがたくも何ともないけど)
ここからはブラックプールについての話です。今回は私達が泊まった星二つ(1つかも?)のホテルについてお話します。
この1912年創業の古いホテルが、私達が1週間も泊まったメトロポールホテルです。星二つ(1つだろう)評価というのは、ロンドンで合流した姉がネットで見て教えてくれました。やっぱり変なホテルだったのか。
「外国のホテルは日本みたいにサービスや快適性が整ってないから覚悟しといたほうがいい」というのが定説。だから、私もこのホテルの外観を見た時から、生唾を呑み込んだのでした。「こいつはやばそうだ」と。
まずでっかい4階建てホテルなのに、エレベーターが1つしかない。なのでロビーにはスーツケースを持ってみんながエレベーター前に長い列を作っていた。荷物がない人々は、老人も足が悪い人もみな階段。私は踊り場で小休止する太ったイギリス老人を何度も見た。ここの従業員が一段抜かしで駆け上がっていくのも。私達の部屋は3階だったのですが、とてもいい運動に毎日なった。
次に、各部屋に電話がない。電話がないということは、部屋同士連絡が取れないので、他の部屋の人に連絡事項があるときは朝食時にロビーで直接会うしかない。姉はスペインから私達のホテルに連絡を取ろうとしたが、部屋に電話がないのでそれができなくて衝撃を受けたという。おまけにトイレットペーパーやタオルをなかなか取り替えてくれないので、その苦情を毎日私達はフロントまで言いに行っていた。階段を駆け下りて。
ホテルがどうのこうのというけど、私達家族(父、母、私)の使い方も生活感が溢れ過ぎてるだろう、という写真。「アジア人、ホテルに住む」の図。洗濯物はお日様に当てないと!と窓際に干すわ干すわ。外から見たら、私達の部屋だけパンツがぶらさがっていた。
私達の部屋は、3人部屋なのに、バスタブがなかった。ちっさ〜〜〜いシャワーが1つ、死ぬ程小さい洗面台が1つ。おまけにそこからは耳をつんざくほどのゴオオオオという換気扇の音がする。テレビはリモコンがすでに壊れていた。ポットの中には苔が住み着いていた。バスマットは向こうが透けてみえるくらいに摩耗していた。布張りの椅子は、廃墟から拾って来たと思える程ボロくて汚い。
でも、私と母はいつのまにかこの部屋が好きになっていた。近所のスーパーで買って来たサラダやスコーンをこの部屋で毎日食べた。日本から持って来たカップ麺をこの部屋ですすった。苔ポットで湯を沸かし、極小洗面台で洗濯をした。不眠気味の母が、この部屋のベッドでは毎日泥のように眠っていた。私も、スプリングが壊れているベッドなのに、驚く程よく寝た。ウォシュレットなんてあるわけないから、毎日自力でひねりだした。掃除のお姉さんの顔も覚えた。健康に過ごした。父は風邪をひいていたけど。
不思議と、居心地はけっこう良かった。だからなのか、サンルームには毎日なぜかたくさんの老人達がおしゃべりしていたり、ぼけーと座っていたりした。老人ホームかと思うくらいに。老人ホームだったのかな??
朝食はバイキング方式でした、、、。トマトは缶詰のホールトマトを缶から出しただけ。ビーンズも缶からだしたそのまま。ソーセージも何かよく分からないミンチで作られていた。「イギリスの食べ物はまずい」とは昔からよく言ったものですが、きっとそれを言い出した人はこのホテルに泊まった事があるのだろう。
しかし、日本食好きの私でしたが、なぜか、ここの朝食が毎日楽しみだったのです。「いつものやばいあれ」みたいなのが、なんか嬉しかったのです。私が勝手に「サム」と名付けた黒人の給仕さんが居て、毎日最高に不機嫌で、制服のベストをいつもきちんと着ずに、無言でまだ食べている私達の皿を持って行こうとするあの媚びなさ過ぎる姿を毎朝見るのが楽しみでした。
フロントのお姉さんもいつも不機嫌で愛想がないのですが、リバプールまでの行き方を尋ねると、わざわざ駅に電話をかけてくれたりしてツンデレ好きにはたまらないホテルだと言えるでしょう。
印象深い、という点では今まで泊まったホテルの中でダントツです。