19日の誕生日は、一週間前にビッグイベントである結婚式があったせいで、自分も家族もなんとなく「もう別にいいよね?誕生日なんてさ。」みたいな雰囲気が漂っていて、私自身が言い出すまで家族の誰も「おめでとう」なんて言ってくれませんでした。っていうか忘れていました。旦那さんも忘れていました。チェッ。
そうしてダラダラといつものように洗濯物を干していると、玄関チャイムを鳴らす音が。
大きなダンボールと小包が届きました。10年来の友達、ヨーコちゃんとマシコさんからです。開けてびっくり、なんと二人とも「柳宗理(有名なデザイナーさんです)デザインキッチンツール」でした。ヨーコちゃんは直径18センチ中型ステンレス鍋と柄のついたザル、中型ステンレスボール。マシコさんはかの有名なミルクパンでした。申し合わせたわけでもなく二人とも柳宗理。
ヨーコちゃんにお礼の電話をかけると、「昔しほちゃんがうちの実家に来た時、うちのステンレスボールを見て『これって柳宗理?』って何回も聞いてたから、あげようって思ってさ〜。」と。ああ、そういえば言ってた言ってた。
マシコさんは「シポコさんがよく練馬の家でゆで卵を茹でてたからさ〜。この小鍋で茹でてほしくてさ〜。」と。ああ、そういえば茹でてた茹でてた!
それを聞いて、すごく二人との歴史を感じました。小さなエピソードの積み重ねがあるのだなと。あのときのあの時間をこの二人と過ごしていたから、今回二人は私にこのプレゼントを選んでくれたんだ。
手紙もそれぞれ書いてくれていた。二人とも二人らしい手紙で、それがまたとても嬉しくてニヤニヤしてしまう。ヨーコちゃんは昔私がクリスマスのプレゼント交換で贈ったレターセットに、本当に綺麗な字で規則正しく書いてある。絶対に似顔絵も描いてある。笑える小話も必ず入っている。安心できるヨーコちゃんのいつもの手紙です。
マシコさんはいつも無骨です。切りっぱなし、ちぎりっぱなし、洗いざらし的な雰囲気の物が彼女は好きなのです。なのでいつもわら半紙のような茶色いすすけた色の手紙なのです。いつも「30年前の手紙が押し入れから出て来た」的な雰囲気を漂わせています。字はもちろん鉛筆で(しかも先の丸いやつ)、一文字が異様にデカイので、内容の割にやたらと枚数があるのです。そしていつも独自の言語すぎてたまに内容が理解できなかったりしてそれがまたイイのです。
嬉しいプレゼントをもらうと、今度は私がもっとその人を喜ばせたいと思う。その人との記憶をたぐり寄せて、その人ならではのものを贈る事はたんに物を贈るだけではなくて、たくさんのその人との時間も思い出すということなんだと思った。
二人ともどうもありがとう。ステンレスはめったに壊れないから、絶対に一生使います。