昨日借り暮らしのアリエッティを観に行きました。よかった、ジブリが3Dとかに手を出さなくってと心から思いました。世間の3D熱はどうかしてると思います。かつて津の小さな映画館を満員御礼にして、14歳の私に立ち見をさせたジブリ映画を観に行くときはいつも緊張します。あ、よかった。座れたぞ。
「ボクは小さな子どものまなざしからあまりにも離れ過ぎたのかもしれない」もののけやハウルを作ってから宮崎駿さんが自分自身に問いかけた言葉は、「崖の上のポニョ」にストレートに反映されていました。この借り暮らしのアリエッティは、ポニョよりさらにわかりやすいと感じました。難解な部分は一切ありません。
それでも大人に「物足りない」と感じさせないのは、ジブリ特有の「細部まで行き届いた目線」にあると思います。今まで観た小人ものとは明らかに違います。人間の台所に初めて辿り着いたアリエッティの五感を感じた私は驚きました。人間にとっては普通の台所なのに、すさまじく巨大な化学工場のような物々しさで迫って来ます。恐怖を与える程に。(実際泣き出した子どもがいましたから)
釘の階段、テープをはがしたときの抵抗感、パンを切る音、人間の足音や息づかい。小人という存在を存分に生かしきって、「きっと小人ならこう見えている」を感じさせてくれます。それを感じるたび、あ〜嬉しい嬉しいと思います。「小さき者に注ぐ宮崎駿の目線」が感じられるからです。あ、でも今回は宮崎さんが監督じゃないんですね。米林監督だそうです。よかった、宮崎さんのよい後継者が現れて。世襲はないな、この世界では。吾郎さんは別の道を探してほしいです。
時に残虐な描写を厭わず、人間の破壊的な行為に対する怒りを込め、どんどん難解になっていったジブリ作品でしたが、今、宮崎さんは、誰にでもわかる方法で改めて地球に住む全ての生き物に対する大きな愛情を伝えてくれていると思います。と、いいつつも私が一番好きなのはナウシカなんですけれども。
帰りに本屋さんで、最新号のBRUTUSをタイトルだけで買ってしまいました。これすごい!スタジオジブリの社員旅行や車内恋愛についてまで書いてあります。