今センダックが話題なので、センダックの代表作「まどのそとのそのまたむこう」をご紹介致します。これも昔からうちにあった絵本ですが、小さい頃は自分の中で「ホラー」に位置づけられていました。
どこが、といいますと、氷で作られた赤ちゃんの人形が出てくるのですが、この描写がホラー以外の何ものでもありません。犬木かなこの世界です。母親に本を読んでもらう時に、このページはなるべく開かないようにしてくれと頼んでいました。
あとは「ゴブリン」という謎の生き物が出てくるのですが、これもよくわかりません。よくわからないけど、とにかく怖いのです。この「ゴブリン」という響きが。「うりこひめ」という日本昔話に出てくる「あまのじゃく」という妖怪とほぼ同じものだと私は位置づけています。
この「まどのそとのそのまたむこう」は、センダックの絵本の中でも一番絵が「生々しい」絵本だと思います。赤ちゃんの皮膚のしわ、赤み、泣き顔、少女の表情、すべてが生々しくて、だからこそ強烈なインパクトを与えてきます。時にホラーに思える程に。それが子どもの時に、容易に手に取れなかった特別で神聖な本として私には映りました。