
「僕らはうまくやるのは難しい。努力が必要だけど、僕はそれでも努力したい。君といたいから」というようなミスチルの歌詞と見紛うばかりの台詞が随所に出てきます。
夢のような恋物語です。まさにいい夢みさせてもろうたという感じです。
1950年代のアメリカ南部の夏が輝いています。

主人公の天才ヴァイオリニストチュン君を演じるのは、演技はまったく素人のヴァイオリニストの少年タン・ユン君。
他の役者さんがみんなとんでもなくオーバーな演技をしているなかで、むしろタン・ユン君の感情の読み取れなさがとても自然に思えます。本来人はこうだろ、と思います。むしろ思春期はそうだろ、と。
演技をしまくってる子役をみるのは、とてもつらいですから。

なんだかとにかくシリアスな大作が観たいと思って借りたら、予想以上にメッセージ性が強い物でした。
これを観て、行動に移す人、始めなくとも心に留めておく事、知る事、そういう人が少しでも増えてほしいと、監督は思って作ったのではないかと思います。自分にできることは何かと考えた時に、「映画で伝える事」というのが彼が取った手段なのだろうと。

久々に、「サントラを買おう」と思いましたです。静かな映画ではないけれど、多くを語らない映画なので、一体彼らが何者なのか、最後まで掴めないのでした。彼らが果たして正しいのか、彼らの母親が正しいのか、答えは出してくれません。
映画全体に漂う「金持ち特有の大雑把さ」が、ふわ〜んと夢見心地にさせてくれます。しゃれた空気を楽しむ映画な気がしました。