実家に帰って来て、本格的にベビー用品を集め始める。あいにく、私の周囲の友人も親戚もみんな赤ちゃんの子育て真っ最中なので、誰かのお下がりを譲り受けるということはできそうにない。一から集めなくては。
私は買い物が上手くない。とにかく迷うのだ。何が一番いいのか考え過ぎて、気持ち悪くなって疲れ果てて、いつも買うのをやめてしまったりする。でも、もうまったなしの状況。そうこうしているうちに産まれてしまう。
市役所や保健センターでもらったあらゆる冊子にのっている赤ちゃん用品の買い物チェックリストを見て、めまいがする。買い物が苦手な私に、これだけのものを揃えろというのか。しかも、「レンタルでもOK」とか「大人用でも代用できます」とか、妙に臨機応変さが必要とされるやないか。「あとは様子を見て、必要なら買い足して。」とか、もう複雑。鼻水吸引機とかいるのかよう?「赤ちゃんによっては、哺乳瓶の乳首の固さは好き嫌いがあるかも」とか、どうしろっていうんだよ。
一人じゃ何も決められないので、母と一緒に「赤ちゃんデパート水谷」に買い物に行く。ただ母も、かなりもう記憶がカスカスなので、案外頼りにならない。「え〜っとな、、、あんたらのときはどんなんやったっけなあ。」というフレーズばかり繰り返している。あとはもう「いや〜!かわいい!コレ見てよ。ちっちゃ〜!」と、赤ちゃんの小さなサイズの服を見ては感嘆の声を上げるばかりだ。全然前に進まなくて、しまいには「しほちゃん、疲れたな。休憩しよう。ソフトクリーム食べよう。」と言って、買い物かごをほっぽりだして私と母はアイスクリーム屋さんに入った。
買い物を始めて5時間後、ぼろぼろになった私と母は、どうにか本日の買い物を終えた。途中で父も参加して、クレジットカードを振りかざしていただき、父の偉大さを見せつけてくれた。
ベビー服、下着、ベビーバス、湯温計、チャイルドシート、ベビー布団、授乳クッション、哺乳瓶、哺乳瓶ブラシ、チャイルドシート、抱っこヒモ、授乳服2枚、、。本来なら、私は一つの物を買うのに一週間ぐらい迷うが、これらを5時間で決めたのだ。もう最後には私は白目をむいていた。それでもまだ全部集まった訳ではない。
人生は決断の連続なのだ。それを思い知った。そしてその後、疲れ果て白目をむいた娘をお寿司に連れて行ってくれた両親の偉大さも、同時に思い知ったのだった。