最近読んだ本でとても面白かったのが、このジェノサイドという本。父が「おもしろいから読め!」としきりに騒いでいたので読みました。この本は本当に面白かったので、この本を読む為の時間がすごく欲しくて、毎日なんとなくワクワクした気分でした。確かうちに初めてネコがきたときも、朝起きるのが楽しみだったなあ。
ジェノサイドというのは「大量殺戮」という意味らしく、ものすごく物騒なタイトルですが、とっても緻密に取材されたエンターテイメント性の高い本でした。それで、すごくたくさんの世界が抱える問題が盛り込まれていて、勉強になりました。読み終えた後に、世界を見る目を少し変えてくれます。
私が特におもしろいと思ったのは、「漢字」というのはアルファベット等と比べると不合理な文字のように思われるかもしれないけど、視覚情報として脳の中に入ると表音文字よりも少ないステップで意味内容に結びつくので、勉強すればする程本が早く読めるようになるという話と、戦争開始を決定する最高権力者ほど、敵からの心理的物理的距離が離れた位置に置かれている、という話。他にも人種差別の話とか、科学の話とか、韓国人だけがもつ「ジョン」という感情の話についてとか。
一連の物語の中に、いくつも「世界の仕組みがちょっと理解できるようになる」話が入っていて、それでいてハリウッド映画のような娯楽性も同時に持っているすごい本でした。この本を書いた人は、世界がすこしでもいい方向を向いてくれるように、色々なメッセージを込めつつ、多くの人にそれを伝える為には娯楽性も重要だってことをちゃんと考えてくれたんだなあと思って、読んでいる時に嬉しくなりました。