3年生の選択美術の授業です。
2学期は何をしようかしら〜?と考えておりました。選択授業は人数が少ないので自由度が大きいのです。悩んだ挙げ句、自分の好きな「静物デッサン」に決めました。生徒に告げると「どんな生き物を描くの〜?ニワトリとか?」と全員が言います。ああ、生物と勘違いしてるのね。
さて〜。デッサンしようにも肝心の静物がない。自宅をひっくりかえしてなにか描けそうなものを探しました。幸い、マジシャンの父の部屋からは意味不明の道具が山ほど発見されました。指の模型、気持ち悪いコアラのぬいぐるみ、トランプが100ケース、リングにボール。すべて人を驚かせたいがために古今東西より父がかき集めたガラクタです。そこから私は銀色のお皿と、なぜかイミテーションのパンを発見して無断で持ち去りました。あとはおばちゃんちからカボチャをひとつ。イミテーションのバラとリンゴとレモンを少々。母のインテリアからもっていったけど、気付いていないのでだまっていよう。
そうして出来上がった2学期のお題。寄せ集め感が漂うビンボー静物だけど、初めての静物デッサンにはまずはこんなもので許してください。
最初はぎゃーぎゃーうるさい中学生達。わざと変な格好で描こうとして笑いを取ろうとするものアリ、バラの花の位置がおかしいと騒ぐもの、パンが食べたいと騒ぐもの、カボチャが本物だと信じないものアリ。でもだんだん本気になってきて、いつのまにか静かに描く音が。まさに静物デッサン。
のぞいてみると、瓶のふたからきっちり描いています。全体のバランスをはかろうという気持ちは微塵もありません。あとからきっと「全部入らない」と騒ぐのでしょうが、この描き方も私は好きです。
こんな秋をまっていたのです。感心した校長先生がこっちをのぞいているわ。いいところだけ見てくださいね。普段は崩壊している私の授業はくれぐれも見ないでくださいね。