6月になると、ほぼ毎日ムカデちゃんが出没します。母は危機管理能力が異常に高いために、この季節いつも神経をとがらせてムカデを殺しまくっています。ムカデに刺されると死ぬと、彼女は信じているからです。
家の一階と二階にそれぞれ一セットずつ、写真のようなムカデ退治の板が設置されており、いつでもどこでもムカデを殺せるようになっています。やり方は、この板にムカデの頭としっぽをはさんで両端からブッチぎるといった残忍な方法です。ムカデに噛まれることと、しっぽの針で刺されることを防ぐ為だと、母は言っています。
「田舎の人こそ、動物に対してけっこうシビアで残酷」という印象を私は受けます。恐らく、動物による被害も同時にたくさん被っているからだと思います。虫を愛でている場合ではないのです、殺るか、やられるかなのです。
畑では、いつもばーさんがシカや猿に対して舌打ちをしたり、偽物の鉄砲を作って撃つ真似などをしている姿を見かけます。ちなみに発砲音は自分の声です、「バーン」とばーさんが叫んでいる姿を見かけた事があります。気の毒ですが、効果は期待できません。
昨日は私の大好きなイチジクの実が、全部食べられていました。私はシカや猿が出るとワクワクしますが、丹誠込めて作った野菜をめちゃくちゃにされたら、火縄銃の一個や二個ぶっぱなしたくなると思います。
私が小さい頃は、逆にそんなに畑の方へシカや猿が降りてくるということは少なかったように思われます。山に食べ物が無くなってしまったのでしょうか?ここに動物博士でもいたら、「動物との共生論」などを展開してくれるのかもしれませんが、そうではない田舎の一村人はただ地団駄をふんで悔しがり、動物を憎むだけなのでした。