まだ本格的に落ちてはいないのですが、うかうかしているといつの間にか落ちまくって、あっというまに虫どものアパートになってしまうので、常に目を光らせていなくてはいけません。
私が一年で一番おばあちゃんに貢献できるのが秋です。実りの秋、80の老婆がすべてを収穫するには、小さい畑ながらに腰がひんまがってしまいます。かといって、私も日焼けのこわい年頃なので日の暮れにぼさっと畑に現れては、コソドロのように毎日少しずつサツマイモやイチジクを掘り返したり、もぎとったりしています。
それで昨日はいよいよ栗にまで触手をのばしたのですが、これは簡単そうにみえて一番腰と目にきます。立ったままずっと下を向いてイガから栗を取り去る作業は、一種トランス状態になります。もう脳みそも栗にしか反応しなくなり、下ばかり向いているのでいよいよヨダレまで垂れて来ます。一人でするのはおすすめしません。
それでも、このイガに詰まった栗を見つけた時のアドレナリンのピュアさといったら。収穫の喜びってすごい。
収穫した栗は、渋皮甘煮にしたりそのまま茹でて食べます。この日の夜もおばあちゃんが茹でた栗を食べましたが、皮を剥くのがまた一苦労で、一体どんだけ手間取らせるんだ栗達よ?と悪態をつきながら口にほりこんでやりました。
そういえばこの日はお月見で、庭に出ておばあちゃんと月を見ました。私は乱視で、月が二重に見えるのですぐに飽きて家の中に入ってしまいましたが、おばあちゃんは月が雲に隠れるまでずっと見ていました。どうやら俳句の勉強会にもっていく句を作らなくてはいけなかったようです。